今日から勝手に2冊目の本に突入です。今回は元中日ドラゴンズ監督、現在はドラゴンズGMの職に付いている落合博満さんの「采配」を勉強していきます。台湾でも翻訳本が出ているので中国語と合わせて勉強していきましょう。
「セルフプロデュースとは、目の前の仕事にベストを尽くすこと」
どんな世界でも、超一流と評される実績を残すような人は、「他の仕事をしても成功できただろう」と言う人がいる。だが、本当にそうなのか。それは誰にもわからない。
私は1978年のドラフト会議でロッテから3位指名を受け、プロ野球の世界に飛び込んだ。実は、その前年にも阪神が指名するかもしれないという話があったが、ドラフトでは別の社会人選手を指名している。また、ロッテに指名された年も、巨人が2位で指名する予定だったと後に聞かされた。
しかし、江川卓投手の獲得を巡る騒動で巨人はドラフト会議をボイコットし、私を指名することはなかったのだ。
もし一年前に阪神に指名されていたら、あるいは巨人に指名されていたら、私は三冠王を3度も獲得するような野球人生を歩んでいたのかどうかはわからない。私自身は、その仕事を始めたタイミング、そこで出会った人との縁といった要素も、その人の人生を左右するのではないかと思っている。そして、どんな道でも成功を収めるためには、ある種の才能が必要だと感じている。
どんな道でも成功を収めるためには、ある種の才能が必要だ
要在任何道路上獲得成功,都需要某種才能
任何・・・どんな
道路・・・道
獲得・・・得る
都・・・”どんな”、”誰でも”など複数を受ける
某種・・・ある種
その“才能“とは、ボールをを投げたり打ったりというものではない。プロ野球界に入ってくるような選手は、誰でも野球センスには恵まれていて、プレーに関する才能は備えている。それとは別に、自分自身を適性のある世界に導く才能とでも表現すればいいのか、セルフプロデュースする能力が必要なのではないだろうか。
自分自身を適性のある世界に導く才能とでも表現すればいいのか、セルフプロデュースする能力が必要なのではないだろうか。
更重要的是,需要將自己引導至適合的領域,以及自我建設的能力。
更・・・更に
引導・・・導く
至・・・〜まで〜する
適合・・・適切な
領域・・・領域
自我建設・・・自分を作り上げる
子供の頃から夢を叶えようと努力し、プロ野球選手になった。多くの人は、そこで才能が認められたと思うだろう。しかし、本当はその人は、会社を経営する資質に恵まれていたとする。それに気づかず、あるいは、会社を経営してみたいと思えるような動機に巡りあえずにプロ野球選手になったかもしれない。
それでも私のように20年もの現役生活を送れば、「他の仕事をしていればよかった」とは思わない。だが、プロ野球選手として大成できなければ、表現は悪いが「道を間違えた」ということになるのだろう。事実、若くしてユニフォームを脱ぎながら、まったく別の分野で成功した人は少なくない。監督として選手を見ていると、「彼は野球よりも別の仕事に向いているな」ということまではわからないにしても、「このままドラゴンズにいても出番には恵まれないだろう」と思える時があった。そういう選手は、他球団にトレードしてチャンスを広げてやりたいと思う。
プロ野球界には、自由契約やトレードで移籍した選手が移籍先の球団で活躍すると「前の球団はどこを見ていたんだ」と内外から批判されるため、他球団なら活躍できそうな選手を飼い殺しにしてしまうケースがある。だから、私のように「ドラゴンズでは芽が出なくても、他球団で活躍できればいいじゃないか」と考えている指導者は少数だった。
しかし、現代は一般社会でも「男子一生の仕事」という概念が希薄になり、人材が動く時代になった。プロ野球界も、野球界全体で選手を生かす道を考えなければならない。
人材が動く時代では、能力を認められればヘッドハンティングされる一方で、戦力とみなされずにリストラされる人たちも増えてきた。「サラリーマンは気楽な稼業」ではなくなった以上、契約社会であるプロ野球のように、しっかりセルフプロデュースすることによって道を開いていく考え方は必要なのではないだろうか。
どうしても使う側と使われる側に考え方の違いがある以上、頑張っているつもりでも評価されなかったり、上司との人間関係に悩まされることはあるはずだ。その際に「ここに留まるべきか、別の道を探すべきか」を自分で判断しなければならない。そのためには、普段から目の前の仕事にベストを尽くすことが条件だ。
普段から目の前の仕事にベストを尽くすこと
對當前的工作應儘最大的力量
對・・・〜に対して
當前・・・目の前
應儘・・・尽くす
最大的力量・・・最大限の力
野球の世界で言えば、練習できないことは試合でもできない。このことを選手本人も自覚している段階では前向きに努力できるのだが、練習でできるようになると、首脳陣と選手の間に認識の違いが生まれることがある。
つまり、こちらはまだ試合で使えるレベルではないと見ているのに、選手本人は試合でもできると思い込むケースだ。それでチャンスがないと悩んでも道は開けない。要は、自分だけができるつもりになるのではなく、「誰が見ても試合でできると思えるレベル」まで、自分のパフォーマンス(仕事)の質を高めていくしかない。
「誰が見ても試合でできると思えるレベル」まで、自分のパフォーマンス(仕事)の質を高めていくしかない。
應該努力提高自己的技術(工作)品質,達到「任何人看了都認為能夠上場比賽的水準」
應該・・・〜するべき
提高・・・高める、上げる
達到・・・その領域に達する
任何人・・・誰でも
能夠・・・できる
上場比賽・・・試合に出る
水準・・・レベル
自分には何ができるのか正しく認識し、できないことはできるように努力し、できるようになったら質を高めていく。こうやって段階を踏みながら仕事に取り組めば、次第にその仕事は自分に合っているのか、あるいは別の分野で頑張っていくべきなのか、客観的な視点でも判断できるようになる。そして、仕事を通じて知り合った人の助言も得ながら、自分の進むべき道を模索してみるのがいいだろう。
落合さんのこの「采配」はプロ野球界を生き抜いてきた観点を我々一般人がわかりやすいように解説しているので、理解しやすく非常にためになる話ばかりです。今後は落合さんの言葉と中国語をうまく合わせて一緒に勉強できたら幸いです。
みなさん良い週末を!
日曜日のちょっとした中国語「落合博満:采配」Vol.1「セルフプロデュースとは、目の前の仕事にベストを尽くすこと」